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暖かい縁切りの後に。 [その他の希望]

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生きていればひとつくらい
どうしてもうまくいかないものもある
そのたったひとつが
一番 あたしが
欲しいものだっただけ

「花より男子」




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ありえないものを全て取り除いて
残った一つが
たとえどんなに信じられないことだとしても
それが真実

シャーロック・ホームズ




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あなたは自分の心配ができない人だから




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昔、何かつらくて耐え難いことがあると、
何でも宇宙規模に換算してた。
長く続いている人類の歴史の中、
私の、私たちの生きている人生は僅かな点にもならない。
その一瞬を取り出せたとして、自分という存在を考えてみる。
誰に教えられたわけでもないのに、植物は青々としていて、
お日様は毎日昇って沈み、夜には月が顔を出す。
昆虫は感情を持たない、と言われているけれど、
日々、種を残すために生きている。
世の中は神秘に満ちていて、私はその全てを知ることはできない。
さあて、その神秘に満ちた世界で、
今、この瞬間、私が悩んでいることはどれほどのことなのか。
大病に苦しんでいるわけではなく、一応健康な体で、
日々の暮らしに困ることもなく、ただ心の隙間を埋めようとしている。
そこで、私ははっ!と気がつく。
私が悩み、苦しんでいることはたいしたことではないのだと。


「あなたは自分の心配ができない人だから」
そう言ってくれた優しい人に縁を切られた。
けれど、私はその理由がよく解るから、痛すぎるほど解るから、
いつものようにワガママを言えなかった。
「気が向いたら、また向かい合ってみる」
そう言ってくれたけど、
気が向くことはもう一生ないのだろう。
彼はきっとありとあらゆる選択肢の中で、
一番正しい選択をした。と思う。
けれど、私はこうも思っている。
正しいカレーは美味しいの?
正当な材料で、正しい手順で作られたカレーは美味しいの?
そこにあるものででたらめに作るから、カレーは美味しいんじゃないの?
彼はきっと微笑みながらこう言う。
「美味しいカレーを作ることが目的なんじゃなくて、正しく作ることが目的なんだよ」
私はもう黙るしかない。


ねえ。
自分にとってこんなにも大事な人を
私はどうして手放さなきゃいけないんだろう。
「自分の人生に必要な人は絶対にいなくなったりしない」
そう友人は言っていたけれど、
じゃあどうして彼はいなくなっちゃったんだろう。
私が作りたいのは正しいカレーじゃない。
美味しいカレー。
でたらめに作って、二度と作れないような美味しいカレーだったのに。





タグ:言の葉

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